困ったな、とその男は
さして困ってない風に言った
big wishes for you!「あのさぁ、梶原景時さん」
「……何」
「なんでクリスマスに呼び出されてるのか、すんげぇ謎なんだけど」
ちゅーっと一気にジュースを啜るとやっぱりオレンジは100%に限るなぁと思いつつ、目の前の男を見る。ちゃんと背を伸ばしてたてばかなりいいスタイルしてんのになぁとちらと視線を向けた。
あははと決まり悪そうな笑顔が浮かんでいる。
「ケンカした?っちゅうか、吹っ掛けられた?」
「……」
あーあと道行く人に視線を移して、黒いコートを来た女の人を数えてみる。なんで黒に定めたかは知らない。
「や、別にいいんだけどもさ。仲直りするにはいい日じゃないの。すれば?」
「すれば……って、気軽に言ってくれるけどね!」
「ごめんといいつつ好きだのなんだの言えばいいじゃんよ」
「……っ」
呆れた口調は容赦なかったらしい。ちょっと、と言って彼は席を立ってしまった。トイレに行くようで、この隙にケータイ電話を取り出してちょちょっと操作をする。こいつがここにいるということは、あの人も時間を持て余してるはずだ。
「……はろーおげんきー?」
「何」
「ちょいちょい映画行かない?」
とかナンとか言って相手を外に誘い出す。なんでこんな恋人が浮かれてほっつき歩いてる日に、ケンカしてやさぐれた自分が外をあるかにゃいかんのじゃ、と言わん口調は、少しずつ和らいできた。
「んじゃ、こないだパスタ食べた店、あそこで待ってるわぁ~」
「ん、すぐいく」
「どんくらいで着く?」
「三十分くらい?」
「はいよーん」
上手いタイミングで戻ってくるもんだ。景時は今まで電話をしていた内容が気になるようで、欺瞞に満ちた視線を送ってくる。いいから、と上手くはぐらかして時間を繋ぐ。
「……さて」
唐突に会話を終わらせたことが不思議で、さらに視線を景時のさらに向こう、入り口のドアに向けているのがおかしいと思ったのだろう。彼も振り返った。
そこには彼が想いを寄せる、あの人が。
「じゃあ、あたしはこれからバイトだから」
「え、ちょ……」
「ばいにゃーん?」
適当に千円札をテーブルに置いて立ち上がる。引きとめようとした視線を背中につけつつ、入り口で立ち止まったまんまのあの人の肩を叩く。
「じゃあ、メリークリスマス?」
何が原因でケンカしちゃったかは知らないけど。
どんな言い訳をするかも知らないけれどさ。
でも、今日はね。
嘘だって本当になる日さ。
ガラス越しに振り返れば、あの人ははにかんで笑っている。向かい合う景時も、きっと、幸せすぎて困った笑顔を浮かべているのだろうか。
あーあ、犬も食わぬ痴話げんか、食っちゃったよ。
まぁいいか。
幸せにね。
クリスマスは恋人が恋人になっていいひだもんね。
はい!クリスマス小話そのに!
すいませんすいません。ホンとすいません。
さらに説明しなくちゃ分からない駄文ですいません。
あれっすよ、ケンカして困った景時に呼び出されちゃったんで、彼女との仲を取り持ってみたんですよ、うん。
景時の彼女は誰か?
景時好きーの皆さんです!
でも逃げるけどね!
逃げてなんぼのクリスマスだぜ!!!!あっははははーん☆
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